08-05 Tue , 2008
空気のようなものに、金を出させるためには
以前、「人権で飯は食えるか?」ってなことを書いた。その中で「人権ってのは、必要なものだ。けど、それを獲得した途端、それはまるで空気のように見えない、当たり前のものになってしまう。毎日、空気を吸いながら『空気があってありがたいな』と思う人は少ないに違いない。それと同じく『日本には基本的人権があってありがたいな』と毎日思っている人もおそらくほとんどいないに違いない。」って書いた。それを思い出しつつ、この日曜日に行ってきた「Living Together Lounge」といろいろ混ぜ合わせて考えてみた。こういう催し物をするためには金がいる。HIV/AIDS関連は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」ってのがあって、その中の基本指針に「五  感染症に関する調査及び研究に関する事項 」ってのがあるから、「REACH Online」って調査ができるんだろうし(セキュリティーに関するWarningが出ますが、大丈夫です)、「九  感染症に関する啓発及び知識の普及並びに感染症の患者等の人権の配慮に関する事項 」があるから「AIDS REPORT」の中に書いてあるような予防啓発活動ができるんだろう。

わたしはこれ見て「すごいじゃん!」って思ったよ。今までどうしても情報が男性同性愛者とMSMの人たちのイベント、しか入ってこなかったんだけど(爆)、結構、いろんなところで啓発活動が行なわれてるんだ。わたし、あんまり街中を歩かないからな~(苦笑)こういうものに出くわしたことはないのだ。

話がちょっと元に戻るけど、この「REACH Online」、今、調査中なので対象者は是非とも回答をって、わたしはこの中に入らないので、回答はできなくて、その調査報告のみ見ることができるんだけど。該当者の人は、是非回答してみてくださいね~!(笑)←宣伝

これがすごいんだ。ってこの調査結果も悪用されるといけないので、無断に引用などはしてはいけないとちゃんと書いてあって、そこら辺に対する配慮がすごいなーとも思うんだけどね。で、引用する場合はちゃんと問い合わせフォームから連絡しなくちゃならないし(で、あとで問い合わせしておこう:8月10日に回答がありまして、これで大丈夫とのことなので、このままにしておきます)。ただ結果を見るのは誰でも見ていいらしいけど。この中にはね、いわゆる「生育歴における出来事」として「これまでに、『ホモ、おかま、おとこおんな』と言った言葉でいじめられたことがある」とかね、「異性愛者を装うしんどさ」とか「メンタルヘルスの現状」など、「これが男性同性愛者およびMSMだけでなく、一般の性的少数者に対する調査だったらどんなにいいだろうか」と強く思わせる内容を含んでいる。だって、これ、LGBT(IQ)(=性的少数者)のうちの「G」と「(一部の)B」「その他、男性とSEXした人」だけなんだもの。他の「LBT(IQ)」の意見は入っていないんだもの。

国の制度を変えるためには、やはり基本的な調査が必要だとわたしは思っている。この日本は、実は5年に1度の「国勢調査」を初めとして、調査だらけだ。ウソだと思ったら、各省庁のウェブサイト見てみ。そこには必ず「統計・調査」項目があるから。調査しなくては現状が把握できず、それに最もよい施策を作成することができないからだ。そして、施策を施行するためには、もちろん予算を取らなければならない。この予算を取るために、まず、現状把握としての調査が必要なのだ、本当は。だから、今、日本に性的少数者がどのくらいいて、どういうことで傷ついてきたか、悩んできたか、それとも全く何とも思わなかったか、性的少数者はうつ病などの割合が他の異性愛者に比べて高いと言われているが、それは本当のことか、自殺未遂率も高いと言われているが本当のことか等、本当に分からないことだらけなので、そういう調査をして、実情を把握しておく必要があるのだ。


しかし、今のところ、性的少数者に対する予算って言うのは、悲しいかな、HIV/AIDS関係しかない。それも「平成20年度厚生労働省所管予算案関係」の中での「エイズ対策費」は81億円だ。それに対して「ハンセン病対策費」は439億円だ。(このpdfファイルの15p)まぁ、ハンセン病にはいろいろつらい歴史があるから、HIV/AIDS対策費に比べて「なんなんだこれは!」とは正直、言いたいけど言えない。

実際問題として調べたんだ。今、HIV/AIDSの感染者、患者数の累計は2007年度で計13,894人。新規患者数はHIVは1,082人、AIDSは418人。計1,500人(平成19年エイズ発生動向年報の「発生動向の分析結果」による)。それに比べてハンセン病は、実はもう、調査自体、止めちゃったのもあるし、完全に何人、ということもよく分からないんだけど、一応こういうのを探し出した。それによると、少なくとも2,717人はいることになっている。そして、厚生労働省のウェブサイトで「ハンセン病」で検索したらこんなのまで出てきたんでびっくりした。これ、内訳見るとほとんど「謝罪、名誉回復措置」と「社会復帰」のための予算だ。

しかしここで、心を鬼にして、単純に1人当たりにかかる費用を計算してみる。HIV/AIDSの場合、約58万円。ハンセン病の場合、約1千万円。こんなに違う。また、HIV/AIDSは新規患者が毎年増加しつつある。しかし、ハンセン病は新規患者はだいたい一桁台。歴史や経緯、現在の状況が全く違うとはいえ、ここまで違うとは思ってもいなかった。

HIV/AIDS、ハンセン病、そして性的指向に対して共通するもの。それは「人権」だ。法務省のウェブサイトに「平成19年度人権教育及び人権啓発施策(概要)」ってのがある。(8)にHIV感染者等に関する人権問題、(9)にハンセン病患者・元患者等に関する人権問題、そして(13)に性的指向,性同一性障害者に関する人権問題、がちゃんと挙げられている。しかし、、この中身を見ると、、「バッカじゃない!!!!」って思わせるような内容なんだよ、特に性的指向に対するものは。「法務省の人権擁護機関では,『性的指向を理由とする差別をなくそう』を人権週間の強調事項として掲げ,人権週間を中心に全国各地で,テレビ・ラジオ放送,新聞・雑誌等による広報,啓発冊子等の配布,各種イベントにおける啓発活動を実施している。」だけだよ。これが一体、どれだけの人の理解を得られるって言うんだろう???

ただ、もうわたしがここで何を言いたいか分かるだろう。金だ。HIV/AIDSもハンセン病も金がついている。しかし、、性的少数者に対しては、そのようなものがない。だから調査も何もできない。「人権では飯は食えない」が「人権を得るためには金がかかる」のだ。しかし、大きな社会問題にでもならない限り、人権には金はつかない。ここで、平成20年度の法務省の予算案を調べてみた。まぁ、これには主要項目しか書いてないが。それも法務省のウェブサイトは予算関係のことを一つも載せてなくて、これは単独でぐぐって調べたのだ。どうも情報公開に対して各省庁や担当機関での温度差が感じられる。これの4ページ目を見るとね、「人権擁護局」の予算案は「人権擁護委員活動の充実強化」で約7億。HIV/AIDSの8.6%だ。それもこの「人権擁護委員活動って何?」と思って調べたら、「社会貢献の精神に基づき人権擁護活動に従事するという人権擁護委員の基本的性格や,民生委員,保護司等の待遇との均衡からは,職務の対価としての報酬は支給しない取扱いを維持することが適当であるが,その職務遂行に要する費用については十分補われる必要がある。」だそうだ(「人権擁護委員活動の活性化の方策」より)。

要するに、人権擁護局は金がないのだ。だから、例えば人権擁護局内のウェブサイトにある「ハンセン病への偏見や差別をなくしましょう」だってね、下の方を見ると「詳しくは,厚生労働省のホームページへ」って書いてあって、実質、金は厚生労働省が出してるんだよ。上に書いた「ハンセン病対策費」の中から出ているのだろう、多分。

根拠となる法律さえできれば、、とも思うが、「人権擁護法案」は、まだまだ議会を通過しそうにない。となると、今、わたしは何ができるんだろう?「国勢調査の中にそういう質問を入れられないか?って考えた。けど、あれは世帯ごとで個人ごとの調査ではない。しかも、今、個人情報の漏洩について、問題になっている。隠れて暮らしている人には、とてもじゃないが安心して本当のことは書けないだろう。家族がいて、カミングアウトしていないのならなおさらのこと。しかも、調査項目に新しい項目を作るのは、よっぽどのことじゃないと入れられない。んー、だったら個別に、、と思ったけど、なんせね、金がないからできない、と答えられるのが関の山。

考えていたところに、偶然、こんなお知らせが。

レインボープライド愛媛」さんが「ゲイ・レズビアン・GIDの当事者メッセージを募集!」をしている。こういうところから、少しずつ存在が分かってもらう、というのはとても大切なことだ。何しろ、これは愛媛県主催の人権フェスティバルなのだ。あのね、もちろん、これに来る人に読んでもらうのは大切なんだけど、やっぱ大切なのは「性的少数者がいる」ってことを行政に伝えることなんだよ。行政も県民のニーズに合わせた施策を作るわけだからね。今回のこれは愛媛県だけのことだけど、多分、各県の同じような課が集まった「担当者会議」はブロックごとに行なわれるはず。ということは「愛媛県でこれこれこういうことをして、性的少数者の声が随分ありました」という報告でもされたら、もしかしたら他の県にも影響を及ぼすかも知れない。ま、どこの県も財政は苦しいから、そうはうまくいかないかも知れないけど。あとは、現地で動ける当事者がやはり必要だよね。。

ってわけで、どこかで何かをしないと、物事は動かない。動いてくれる人がいるなら、それに乗ってしまえ!ってわけで、わたしもメッセージ送りたいと思ってます(笑)

だけど、ホント、このままでは毎年毎年、人権擁護局から「啓発活動をやってます~」って報告しかなさそうで、怖い。。何かいい方法はないのかな。

テーマ:性的少数者(LGBTIQ) - ジャンル:日記

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