04-27 Fri , 2012
レズビアンになったきっかけ?(その2)
その1の続き。

前に

> というわけで、長くなったけど、わたしがレズビアンだって気が付いたまでを次から書いていきたいと思う。

って書きながら、なかなか書き出せなかったのは、わたしの中にどうしても「性的指向」と「ジェンダー」をごっちゃにされてしまう恐れがあるんじゃないかと思ったから。そこのところに【注】を付けないと、これを読んだ人が「レズビアンはみんなこうだ」って思われると困るから。

正直言って、わたしは一般的な「レズビアン」には程遠い存在だと思う。レズビアンといっても、わたしは「他人に恋愛感情を抱くことがない」Aセク(無性愛)寄りだと思うし(ただし、無性愛(Aセク)の定義については諸説いろいろあるようで、Wikipediaに言及されている「無性愛」と「非性愛」の項目については現在「問題がある」と書かれている)、ジェンダーについては「分からない」し。

ジェンダーについての「分からない」ってのはね、ジェンダーとかジェンダーロール(性役割)については「存在する」ということは分かるの。これは頭でね。だけどわたしの中には「○○らしくなりたい」とか「○○らしくしなくては」という概念が存在しない。それが前の日記に書いた「わたしはおそらくジェンダー受容体みたいなものが欠けている」と書いた理由。わたしはそれがないので全くよく分からないのだけれど、それが「ある」人にとっては「○○らしくなりたい」とか「○○らしくしなくては」と自然に思えるのだろうね。特に「○○らしくしなくては」というのは一種の「圧力」と感じる人がいて、だから「生きづらい」と思える人がいるんだと思う。

そういうのが一切ないわたしは、そういう「圧力」を全く感じたことがない。わたしはいつも「○○らしくなりなさい」と言われて悩んだ、とか生きづらさを感じた、という本を読んだときに「自分はかなり『女らしく』から外れた人間なのに、何も言われたことがないなんて、幸せな人間だったんだなあ」と思っていたのだが、よくよく考えてみると、全く言われなかった、ということもないんだよね。本当は他の人と同じように言われてたのかも知れないけど、気にならなかったんでその記憶がほとんど消えちゃったんだと思う。それとそういうことに対する「同調圧力」を感じる能力も欠けているので「圧力がかかっている」と感じたことがない。だから他の人と比較してどの程度そういうことが言われたかとか圧力がかかっていたかすら、実は覚えてないんだよね。だからその点については感じない分、わたしは「幸せ」なのかも知れない。

この「○○らしくなりたい」とか「○○らしくならなきゃいけない」と無意識で思ってる人はこの世で多いらしく、というかそういう人にとってはそれは既に「自分らしいこと」らしいんだよね。で、本当はその「○○らしい」というのは個人個人で異なっているはずなのよ。それと古今東西で「○○らしい」というのが統一されているわけでもなく、一方の地域で「男らしい」と思われていることが、他方の地域ではそうではない、ということはよくある。「男らしさ」とか「女らしさ」なんて、その時々で変わってくるし、個人個人でも異なっているもので、どこにも統一された「男らしさ」や「女らしさ」なんてものは定義されていないのに「男らしくしろ」とか「女らしくしろ」って言う人はなんなんだろうねって思う。そういう人は自分こそは「男らしい」とか「女らしい」って思ってるんだろうけど、「男らしい」とか「女らしい」の定義がないのによくそういうこと言えちゃうねって思う(ジェンダーフリーバッシングしてる人とか)。

要するにそういう人たちって「自分がルールブックだ」(古い)と思って自分の物差しブンブン振り回してるのと一緒だと思うんだけどね。そしてもしかしたらそういう人って逆に「○○らしくしなければ」という思いが強すぎる人で、だから人にもそれを要求しているのかなと思えて来ちゃう(自分も苦しんでるんだから、お前も苦しめ、みたいな)。普通になんの圧力も感じずに「男らしく」とか「女らしく」してる人の方が、その人にとってはそれが「自分らしくしている」と思っているわけだから、他人に寛容かも知れない。まぁわたしにしてみれば無意識に「男らしく」とか「女らしく」したいって思う人の気持ちがさっぱり理解できないので「本当にこの世の中にそういう人っているの?」って感じなんだけど。。(それはわたしがこの世の中の人に対して「本当に異性のことが好きって思ってる人がいるの?」と思えるのと全く同じだと思う。わたしにとっては「同性が好き」なのは自然のことなので「異性が好き」な人の気持ちが全く分からない。ということは裏返せば異性愛者にとっては「同性が好き」という気持ちも全く分からないのだろうと思う。だから「いつレズビアンになったんですか」って聞かれるわけだよね(苦笑))

あーあとわたしはこの「自分らしく」ってのも嫌いです(笑)というか「自分らしいってなに?」って思う。自分は自分なんだから、自分がすることは既に「自分」であって、決して自分「らしい」ものではないと思うんだよね。でも「自分らしくありたい」とは言うけど、あんまり「自分でありたい」とは言わないよね。なんでなんだろうね?そして「自分らしく生きろ」は、そうとしか言いようがなく「自分を生きろ」になると意味が変わってきてしまう。わたしはこの「らしく」って付けると「ニセ自分」みたいなイメージを持つんだけど、「らしく」の用法間違えてるのかなあ、、

なんてことをつらつら書いていたら、また長くなった。

要するにわたしが言いたいのはこれは「わたし」の場合であって、他のレズビアンの人にすべて当てはまるわけじゃないんですよーってことなんだよね。多分レズビアンの中でもわたしのように「ジェンダー受容体」がない人は少ないんじゃないのかなあって思う(今まで出版されている「カミングアウト本」を読んでみても)。で、わたしの場合、ジェンダー受容体がなく、しかもジェンダー自体が「分からない」か「どちらとも決めたくない」なわけなので、多分、周囲からは「女らしくない」とか「男っぽい」とか思われてると思うのよね。でも、今まで書いてきたように、わたしは「○○らしくしたい」とか「○○らしくしよう」と思ったことなど一度もなくて、わたしが思ってたのはひたすら「自分はどうしたいか」だったので、そこに「男」とか「女」のフィルターがかけられてないんだよね。

トランスジェンダリズム宣言―性別の自己決定権と多様な性の肯定」って本があってね、その中に「トランスジェンダーという言葉を作った人」のことについて書いてある。

「トランスジェンダー」という言葉を作ったのはヴァージニア・プリンスという人で、その人に寄れば「身体的性別であるセックスではなく、社会的性別であるジェンダーに違和感を抱く自身を表わすため」に作った言葉、なのだそうだ(130p)。

この定義によれば、わたしはまさしく「トランスジェンダー」なのだが、昨今の「トランスジェンダー」という意味の中には「身体的性別の違和を持つもの」が定義されてしまっているために、今の意味での「トランスジェンダー」の中にはわたしは入らない。わたしには性別違和はないからね。これ、いつの間に「性別違和」が含まれる言葉になってしまったんだろうって思う。おそらく推測するに、性別違和を持つ人とジェンダーに違和を持つ人というのは非常に近い関係で、しかも性別違和を持つ人の方がジェンダー違和を持つ人よりも数が多いんじゃないだろうか。だから、いつの間にかジェンダー違和だけでなく、性別違和を持つ人、という意味が含まれてしまったんじゃないかと思ったりする。

そういえば「性同一性障害」(GID)と診断されるガイドラインの中の「性別違和の実態を明らかにする」の中に「反対の性役割。日常生活のなかでも反対の性別として行動する、あるいは行動しようとする。しぐさや身のこなし・言葉づかいなどで反対の性役割を演ずる、あるいは演ずることを望んでいる」ってあるんだけどさ、ここでも「性別違和」と「ジェンダー」がごっちゃにされてると思うんだよね。大半の人は自分の(感じている)性別と性役割が一致しているのかも知れないけど、そうじゃない人もいるかも知れないのに。というか、これでは自分の(感じている)性別と性役割が一致しない「性同一性障害」の人は救われないよね。

要するに「今の自分の身体は男でも、自分は女だと思っている。けど別に女っぽくしようとは思わない人」なんかの存在は無視されている(少し専門用語を交えると「男っぽいMtF」は存在しないってこと。また逆の「女っぽいFtM」も同じ)。もし、こういう人たちが存在するとして、そして強い性別違和感を感じて性別適合手術(SRS)を受けたい、と思ったときは、無理に自分の「やりたくない」「男らしさ」とか「女らしさ」を身につけて医者に認めてもらわないといけない。これっておかしいんじゃないの?ってことだ(尤も「セクシュアリティの多様性と排除 (差別と排除の〔いま〕 第6巻) (差別と排除の「いま」)」の第4章(126p~)によると「性同一性障害」と診断する精神科医師は、特に「過度な」反対の性役割は求めていない、とのことだけれど(それより本人が性別移行後にちゃんと暮らせるかということに重点を置いているらしい))。でもある程度の「反対の性役割」は「マナー」だと言い切ってるので、わたしからするとそれは「なんだかなあ」って感じがするけどね。男っぽいMtFがいてもいいし、女っぽいFtMがいてもいいじゃん、ってわたしは思う。

って話がどんどん逸れていく(汗)

わたしはただ「性的指向」と「ジェンダー」は無関係っていいたかっただけなのに(笑)いつの間にか「性別違和」と「ジェンダー」が混同されている、という話になってしまった。

でもわたし自身、長い間「性別違和とジェンダー」について分離できなかったからね。だから、わたしはずーっと以前から「自分にはジェンダーはない」って思ってたけど、それと「トランスジェンダー」との間がすっぱりと分かれなくてなんだかずっともやもやしてたんだよね。性別違和は感じていないので、わたしはトランスジェンダーではないのだが、だけれども自分は一般に「女らしく」はなりたくなかった(もちろん「男らしく」にもなりたくなかったけど)、何かトランスジェンダーと「似ている部分」もあって、それがなんなのかよく分からなかったんだよね。

ちなみに「なぜ同性愛者が生まれるのか」について「ゲイの脳は異性愛者の女性に似ていて、レズビアンの脳は異性愛者の男性に似ている」といったことが「ごく自然に」前提条件になっているけれども、その考え方ってまさに「男と女は惹かれ合って当然」という「異性愛主義」に基づいているものなのだよね。

「男であるのに男が好き」→「男が男を好きなんて考えられないから、男好きな男の脳は女だ」→「だからゲイは女っぽい」
「女であるのに女が好き」→「女が女を好きなんて考えられないから、女好きの女の脳は女だ」→「だからレズビアンは男っぽい」

しかし、もう一方で「なぜトランスジェンダーが生まれるのか」という疑問もあるわけだよね。

「身体が男であるのに自分は女であると思っている」→「それは身体が男でも脳が女だからだ」
「身体が女であるのに自分は男であると思っている」→「それは身体が女でも脳が男だからだ」

ゲイやレズビアンとトランスジェンダーは全く違うものなのに、結論が同じになってしまう。これっておかしいでしょ?

また、トランスジェンダーの中にはゲイもレズビアンもいる。

「身体が男であるのに自分は女だと思っている。しかし好きになるのは女性」
「身体が女であるのに自分は男だと思っている。しかし好きになるのは男性」

こういう人(MtFレズビアン、またはFtMゲイという)は確実にいる(わたしの知り合いにもいる)。それもMtFレズビアンはMtFの中でもかなりの割合でいるという人は多い(ちゃんとした統計は取られていないけれども、当事者でそう実感している人はいる。FtMゲイについては、MtFレズビアンよりも少ない。これも当事者の中での実感だそうだ)。

こういう人たちの場合、その人の脳はどうなってると説明するのだろうね?はっきりいって「異性愛主義」ではこのような場合は「説明不可能」なのだ。

なのに平然と「男好きな男の脳は、女性の脳だ」と思い込まれている(例えばこういう本に書かれてたり)。いや「脳」に限定しなくても、なんらかの「女性と同じ部分」を探そうとしている(例えば脳梁だったりホルモンだったり)。

それって根本的に違うのだ。だからこういう研究をしている人は「男と女は惹かれ合って当然」という考え方である「異性愛主義」から脱するべきで、脱するためにはもう少し性的少数者(セクシャルマイノリティ)の実態について勉強したり、クィア理論などを勉強した方がいい(ただ正直、クィア理論はわたしもよく知らない)。

同性愛者はただ「同性」が好き、というだけなのだ。

「男として男が好き」
「女として女が好き」

ただそれだけなのだ。そこに余計な「異性愛主義」や「ジェンダー」はいらない。

あ、でも尤も「男らしい男の人が好きな男の人」とか、そういう意味では個人の好き嫌いには「ジェンダー」は絡んでくると思う。「女っぽい男が好きな男の人」はあんまり聞かないけど、レズビアンの方では「フェム(女っぽい)好き」と「ボーイッシュ(男っぽい)好き」の両方がいるからねー。ちなみにわたしはフェム苦手(笑)自分も全然女っぽくないけど、女っぽくない女性が好みです(だからといってあまりにも男っぽい人も苦手)。

でもこれって異性愛者も同じだよね。男性がすべて「女っぽい女性」に惹かれるとは限らないように。女性でも「男っぽい男性は苦手」って思う人もいるように。そういう「好み」においては、異性愛も同性愛も変わりがないんだよねー。

ってところで、その3へ続く。。

【注】この日記の中には「性同一性障害(GID)」と「トランスジェンダー」をごちゃごちゃにして書いてありますが、「性同一性障害(GID)」は一般に医療用語であり、「トランスジェンダー」は上にも書いたとおり「当事者が作った言葉」で、根本的には異なる言葉なんだけれど、今の日本の中では「トランスジェンダー」の中に「性同一性障害(GID)」があると位置づけられる考えが一般的で、「性同一性障害(GID)」の人は性別適合手術を望む人、というようなイメージがあります(一方「トランスジェンダー」は性別違和はあるけれど、様々な理由があり性別適合手術はしない人、というイメージがある)。しかし、トランス業界は非常に複雑なので「トランスジェンダー」「性同一性障害(GID)」の関係も複雑で、そうすっきりと分けられるわけではないです。
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