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02-04 Sat , 2012
「同性愛の謎」の驚くべきトンデモさ
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竹内久美子という人が書いたこの本、最近出た本のようだが、こんな本が本当に出回っていいのか?と思ってしまうようなトンデモ本だ。これを何も知らない人たちが読んで信じてしまったら、と考えると怖いくらいだ。

ツッコミどころが多すぎて、どこから書いていいのか分からないんだけど、全体的に書きようが大げさだ。「なんと!○○だったのだ!」とか、とにかく「!」が多い。だけど、ここに書いてあることって、さも新しげで「最新情報」みたいな感じがするけど、実は既にどこぞに書いてあることなんだよね~。新しくもなんともない。しかも、なんといっても著者が同性愛者の理解について圧倒的に足らないか未熟。

まぁ気になったところ、最初から挙げてきましょか。

まず「キンゼイレポート」で有名なキンゼイなのだが、同性愛者って書いてある。わたし、今までいろんなキンゼイについて書いてある本を読んだことがあるけど、同性愛者って記述は初めて見た。というか、ジェンダー・スタディーズ(大阪大学出版会)の42ページに「キンゼイは、人間はみな基本的に両性愛、それも一生固定しているのではなくて、流動的なものだと考え、0が100%異性愛で10が100%同性愛という尺度でいえば、クライド(キンゼイの助手)は3、キンゼイは1と診断する。」と書いてある。まぁ実際、キンゼイレポートによる異性愛と同性愛の尺度は0から6の7段階で、なんでここでは0から10って書いてあるのかは謎なんだけど、この記述を見るとキンゼイはどちらかというと異性愛者寄りであり、同性愛者だとは言えない。このクライドって助手とキンゼイはクライドの誘いで性的関係を持つんだけど、それが「同性愛」と判断されたのかなぁ?でもキンゼイには妻もいるんだけどね。

あとペニスの大きさが大きい方が、ゲイの間では魅力の一つって書いてあるんだけど、まぁそれについては本当なのかどうなのかは知らない。でもこの人、「ゲイのセックス」=「アナルセックス」としか思ってないようだ。なんかオーストラリア人のゲイが日本のゲイとセックスしたときにペニスの大きさが足りなかったので何の満足も得られなかったとか、ゲイの主流はバイセクシャルで、そのバイセクシャルの行なう同性愛行動は、実は異性愛行動のための練習だとか。同性愛関係の本(特に「同性愛って何?」みたいな基礎知識本)には必ず「ゲイの行なうセックスはアナルセックスだけではない」って書いてあるわけで。オーラルのみとか、しごきあいとか、そういうセックスの仕方もあるわけなんだよね。わたしも見てきたように言うけどさ(笑)、実際、そういうセックスしかしないって話をゲイの人としたこともあるんだよね。だから「ゲイのセックス」=「アナルセックスのみ」と思わせるようなこれらの表現は、ゲイの間違った知識を植え付ける役割もしているわけで。その罪は大きいと思うよ。

それからドイツの性科学者であるヒルシュフェルトは自身が同性愛者で、同性愛について研究し、その原因が生物学的な問題であることを主張していたのに、男性同性愛者のことを自ら「倒錯者」と言い、そのことについて「それにしても倒錯者とは・・・。同性愛が病気ではないとWHOが見なしたのが1990年。ヒルシュフェルトについてはまだ時期が早すぎたというべきか。」と書いてるけど、あの時代は同性愛者は倒錯者と呼ばれ、同性愛行為は犯罪とされたり治療の対象になっていた。だから、ヒルシュフェルトは生物学的な原因だから治療しても治らない、と言ったのだ。しかし結局、そのことさえ逆手にとられて、ナチスに「障害者(劣性遺伝子を持つもの)」と見なされ「断種されなければならない存在」とされて強制収容所にぶち込まれ虐殺の対象になってしまった。そういう「歴史的な背景」を全然知らないのか、この人は、って感じだ。何が「時期が早すぎた」だ。同性愛が病気でないとされるまでの同性愛者たちの過酷な歴史や努力を全く書こうともせず(もしかして知らない?)、ものすごく呑気(あるいは脳天気)としか言いようがない。

「知らない」と言えば、ヘテロの被験者とゲイの被験者を集め、父、母、一番年長のキョウダイ、一番年下のキョウダイ、という4人に絞り、以下の4つの質問をした実験。(1)これら4人の住んでいる場所から、それぞれどれくらい離れた場所に住んでいるか。(2)彼らと、過去1ヶ月に何回会っているか(電話で話した回数も含める。)(3)彼らと過去1年間のうちにどれだけお金が動いたか(あげた、ともらった、の両方で。単位はUSドル)(4)彼らとどれほど心の距離があると感ずるか。1(とても近い)から7(とても離れている)までの7段階で答える。

この結果(1)はあまり違いがなかったけれど、(2)で差が出て、ゲイグループは電話も含め、父母に会う機会が少ない、(3)は省略、(4)心の距離はゲイグループの方が心の距離がある、と出たそうだ。で、その結果を受けて「血縁者の繁殖を助け、間接的に自分の遺伝子のコピーを残そうとしているのだという『ヘルパー仮説』には信憑性がなくなってくる。」って書いてあるけど、なんでこの人「同性愛者にはカミングアウト」という問題があることを考えないのだろうか?このゲイの被験者はカミングアウトしているかどうかには全く触れていないので、何とも言えないのだけれど、家族との距離感が遠いのは、カミングアウトしていないせいとも考えられるし、カミングアウトしたものの、家族から拒否されて家族と会わないって人もいるだろう。「ヘルパー仮説」云々を本当に証明したいのであれば、被験者のゲイは全員家族にカミングアウト済みで、家族との関係も良好な人たちを選ばなければならない。しかもこのことは「実験条件」として明白に書かれなければならない。こんなの全然「科学実験」でもなんでもない。こんな実験をしてこんな結果が出てくるのは、ある意味「当然」のことだ。

それと同じことが言えるのは、ある実験において、ゲイについてはゲイコミュニティーと'94年にトロントで行なわれたゲイとレズビアンのパレードに参加していた男性、異性愛者については「ロータリークラブ」のような社会奉仕団体の組織をいくつかと2つの大学のキャンパスにビラを貼って集めたそうだ。そして条件に合ったのは736人で、これらの人々にいよいよ性的指向を訊ねたら、2つの例外があった、と。「ゲイパレードの際に集めたのに、自分は異性愛者だと答えた例と、社会奉仕団体で集めたが、自分は同性愛者だと答えた例だ。前者についてはどういうことなのかわからないが、後者の場合に同性愛者が一例しかないというのも、考えてみれば不思議だ。社会奉仕団体のメンバーは性的指向に関係なく集まってくるはずである。とすれば、キンゼイ報告やその他の調査でわかったように、社会奉仕団体においても男の数%が同性愛オンリー、十数%がバイセクシャル、というような結果が現われても不思議はないはずなのだが。」って書いてあるんだけど、これ読んだときに、呆れて何も言えなかった。

あのさぁ。ゲイパレードはゲイだけのものじゃないんですけど。ゲイパレードにだって異性愛者はたくさん参加してるんだよ?同性愛者の親も参加してるし異性愛者の友達も参加してる。もしかしたら誰も知り合いはいないけど、ゲイパレードは楽しいから、また、ゲイの権利を応援したいから参加したいって思って参加する人もいるかも知れない。そういう「アライ」さん(異性愛者でLGBTフレンドリーな人たちのこと)がいて、そういう人たちもパレードに参加していることをこの人全く知らない。ゲイパレードに参加するのは当事者だけだと思い込んでいる。なんて無知なんだろう。そして、同性愛者が一例しかないというのも、そんなに人に簡単にカミングアウトするなんて人はいない、と考えるべきなんじゃないの?こんなの全然不思議でもなんでもない。だって、突然あまり親しくもない人から「あなたの性的指向はなんですか?」って訊ねられて素直に「わたしはゲイです」なんてオープンに答えられる人なんかそうそういないはずだ。そういう「同性愛者の置かれた状況」について、この人は本当に全く知らない。それでよくこんな本書けるもんだと思うね、全く。

それから遺伝子の問題。「人間には22対の常染色体と一組の性染色体がある。性染色体は男でXY、女でXXの状態である。男は父親からYを受け継ぐ都合上、Xは必ず母親由来のものを受け継ぐことになる。このX上に問題の遺伝子があると、男では症状が現われてしまうのだ。一方で女が全員セーフなのは、性染色体がXXだからだ。どちらのXにも問題の遺伝子が乗っていなければ、もちろん問題は起こらない。そしてたとえ問題の遺伝子を乗せているXを一つ受け継いでいても、もう一つの正常なXがちゃんと働くので、問題が発生しないようになっているのである(ちなみに、2つのXのどちらにも問題の遺伝子が乗るという事態は、この一族のようなケースでは近親交配を行なわない限り起こり得ない)。」そして血縁者の誰に同性愛者が多いかどうかをあれこれと書いているが、結論として「どうやら男性同性愛に関わる遺伝子のうち最も重要と思われるものは、母から息子へと伝えられているらしい。父から息子へは伝わらないようだ。」「男性同性愛に関わる遺伝子の一つが、性染色体のXに存在することはほとんど疑いようがない。他の人々の研究によっても、男性同性愛者の母方に男性同性愛者が多いことが確かめられていて、それはX上に男性同性愛遺伝子の一つが存在することの動かぬ証拠だからである。」と書いてある。

あのー。この理論だと、女性同性愛者、いわゆるレズビアンは存在しない、ということになってしまうのだけれど。女は症状が出てこない「保因者」でしか有り得ないんでしょ。レズビアンであるということは、XXはどちらとも「異常」(敢えてこの言葉を使う)ということなんだけど(この説によればね)、XXが異常な場合って近親交配の結果でしか起こり得ないんでしょ?だったらレズビアンはなぜ生まれてくるの?レズビアンはみんな親が近親交配した結果なの?少なくともうちは違うけど?(笑)

それから、男性異性愛者と男性同性愛者のキョウダイの数を比較した研究では「姉の数も、弟の数も、妹の数も違いはなかった。違いがあったのは、兄の数のみである。同性愛グループには兄が多い!」(この本、こういう風に「!」を多用してるのよ)「このように、すべての被験者を兄の数によって分類すると、兄の数が多い場合ほど、同性愛者の占める割合が高くなっていくことがわかる。」「ブランチャードらによると、兄が一人増えるごとに、男の子が将来同性愛者になる確率は33%増していく勘定になるという。」「ともかく理論上の計算によれば、男性同性愛者の7人に1人は、兄がいることが原因となっている、とブランチャードらは結論しているのである。」「それにしてもなぜ、兄の数なのか?姉はなぜ関係ないのだろう?それは…兄が男であるのに対し、姉は女だからである!」(また「!」かよ。。)そしてその理由としては「そもそも女が子を身籠もること自体、大変な出来事だ。胎児は自分と相手の男の遺伝子を半々に受け継いだ存在で、いわば半分は自分であり、半分は他人である。その他人の部分においては異物であり、免疫的に拒否反応が起きても不思議はない。しかし、そうはならないよう我々の身体はできている。胎児と母親とがつながっている場所である胎盤は、まさに関所のような役割を果たしており、栄養以外の物質はなるべく通れないようになっている。もっともそれでも解決できていない問題が微妙に残されている。それらのうち、最大の問題の一つが、女が男の子を身籠もった場合だ。男しか持たない性染色体、Yからつくられる、男しか持たない物質が、この関所を通り、母親の体内に侵入してきた場合、異物とみなされてしまうのである(男の性染色体はXY、女の性染色体はXXという状態)。その物質、H-Y抗原は、男の体の細胞の表面などに存在している。母親が男の子を身籠もっているとき、母親の血液の中にこの抗原に対する抗体がつくられることがある。それは男の胎児を免疫的に攻撃し始めるわけだが、H-Y抗原は何と、脳の細胞表面に特に多く存在するという。つまり、母親の抗体が男の胎児の脳を攻撃し、彼の脳の男性化を阻止するかもしれないー。攻撃の確率は、女が男の子をより多く身籠もるほど、高くなっていく。兄が多い男の胎児ほど、母親から免疫的に攻撃され、脳の男性化が阻止される確率も高くなるだろうというわけである。」

呆れてものも言えないトンデモ理論だが。。これもね、じゃあなんでレズビアンは生まれてくるの?って回答にはなってないよね。母親が女の胎児を身籠もっている場合、胎児の遺伝子はXXなわけだから、Y遺伝子が持つというH-Y抗原が胎児の脳を攻撃することはないわけでしょう、この理屈からすると。そもそもXX遺伝子を持つ胎児はH-Y遺伝子は持ってないわけなんだから。XX遺伝子を持っている胎児の脳は攻撃される対象を持ってない。攻撃されてないんだから、脳は一般の異性愛者女性と全く同じでレズビアンは生まれてこないってことになるよね。この理屈も上の理屈と同じく、レズビアンの場合は全く説明が付かないのだ。この説も「男性同性愛者のみ」で考えられており、そこに「女性同性愛者」がいるってことは全く考えられていない。

以前散々言われた「ホルモンシャワー説」(母親が妊娠中にストレスを受けて、男性ホルモンが少なくなったからゲイが生まれるという説)とか「脳梁説」(ゲイの脳梁は女性と同じくらい太いという説)と同じなんだけどさ、これじゃレズビアンの場合は成り立たないんだって(「脳梁説」の場合、レズビアンは男性と同じという可能性はあるが、それに触れられている論文は今まで見たことない。それに脳梁の太さがただ「同じ傾向」があるというだけで、同性愛と結びつける因果関係がはっきりとしない)。こういう実験でいつも気になるのは、対象は「ゲイ」で「レズビアン」のことはまるっきり無視されてることだ。科学者って、わたしも理系だから経験あるんだけどさ、ありとあらゆる場合を想定して、それでも成り立つ、ということを証明して初めてその説が「普遍的」に成立するんじゃないの?同性愛者は男性だけでなく女性もいるんだよ?あと、同性愛者だけでなく両性愛者(バイセクシャル)もいるけど、その人たちの場合はどう考えればいいんだろうね?(ちなみにすべての人間が同性愛、異性愛、両性愛だけに分けられるだけではなく、その他に全性愛、無性愛、非性愛、その他があり、「脳の○○によって△△愛者になる」という結論が出したいのであれば、これらすべてのパターンに当てはめてもおかしくない理論を打ち立てなければ「普遍的」とは言えない)

【後日追記】もう一つ。仮に、あくまでも仮にだが、「女性化(男性化)した脳を持つ男性(女性)」=「ゲイ(レズビアン)」ならば、性別違和を持った人の脳はどうなっているのだろうって疑問が湧いてこないか?この世界には性別違和を持つ人がいる。生まれたときの外性器の形で性別は決められるが、大きくなるにつれ、自分の性別が自分の決められた性別とは違うと感じられる人たちだ。属に「身体の性と心の性が一致しない人」とか「性同一性障害(GID)」とも言われる(※)。まぁそういう人たちがいるってことも完全に無視しちゃってるよね、この本は。「女性化(男性化)した脳を持つ男性(女性)」=「性別違和を持っている人」とも考えられないことはないよね。っていうか、逆に女性化(男性化)した脳を持ってるんだから「同性が好き」ってよりは「女性(男性)になりたいんだ」って考えた方が理屈として通るんじゃないか(っていうか、これはあくまでも反論するために考えた理屈であり、何を持って「女性化(男性化)した脳」と判断できるのかは今のところ誰にも分かっていないということです。脳の重さとか、脳梁の形とか、目に見えるものでしか判断していない。脳の中身の方が重要かも知れないのに、脳の中身については全く研究されていない)。

(※)「性同一性障害」というのは病名であり、それにともなって何らかの医療行為を受けたい人が医療行為を受けるために病院に行ってそういう診断名を付けてもらうわけで、性別違和を感じる人が全員「性同一性障害」なわけではありません。そもそも性別違和を感じる人が全員「異性になりたい、異性として暮らしたい」と思っているわけではありません。ここのところは千差万別で、「その原因は何なのか、どこから来るのか」ということを解明するのは非常に困難だと思います。また、性別違和を感じている人は必ずしも異性愛者ではありません(同性愛者もいます)。なので、こういった原因を追及していくのであれば、「同性愛者」と「性別違和を感じている人」はきっちり分けて考えておく必要があります。【追記終わり】

そして、何も知らず、というか「もしや自分の息子はゲイなのでは」と思っている母親がこれを読んだらどんなに傷つくか。。何も知らない母親は「自分のせいだ」って思っちゃうよ、これ。実際、子どもにカミングアウトされて混乱している親が「何か知りたい」と思って同性愛について書かれた本を探す、ということがある。そのときにもしこの本を手に取ってしまったら。。。悲劇が起こるよ。(子どもにカミングアウトされて困惑されている親御さんのために。カミングアウト・レターズ(太郎次郎社エディタス)という本があります。これを読んでみて下さい)

ちなみに「ゲイ遺伝子説」については、同性愛入門(編・伏見憲明、ポット出版)の41ページから43ページで触れられてて(というか、ゲイ遺伝子説だけでなく、脳の違い説も載ってて、この「同性愛の謎」に書かれている内容はほとんど既に2003年の時点でこの本に書かれている)、同じ実験をカナダで行なったところ、X染色体に遺伝子がありそうだという結果を得ることはできなかった、と書いてあるし、科学で分かる男と女になるしくみ(サイエンス・アイ新書)に至っては「ゲイ遺伝子に関する研究は進められているが、そのたびに結果が違う。結局のところ、同性愛男性に共通する『ゲイ遺伝子』があるかどうかも、あるとしたらどこにあるかもはっきりとしていない、ということだ。」(82ページ)と書いてある。だから、ゲイ遺伝子については、こんなにはっきりと「X染色体に原因がある」とは言い切れないのだ。これしか読んでない人はこれ信じちゃうと思うと怖いよ、ホント。

あとまだあるんだよ(笑)

「男性同性愛者は男性異性愛者と体格に差がなくても、ダーツ投げ、ボール投げが全般に苦手で、それは女性異性愛者と同じくらいのレヴェルだったのである。1991年に双子研究を発表したベイリー&ビラードも、いくつかの質問の中に、こどもの頃、スポーツにどれほど興味があったかという項目を設定している。するとやはり、男性同性愛者は男性異性愛者ほどにスポーツに興味がなかった。そもそもスポーツが苦手だから興味がないと言うことなのかも知れない。」と書きながら、別のページでは「ワールド・アウトゲームズとは、LGBTによるスポーツとカルチャーの祭典で、この時92カ国から5518人が参加している。陸上、水泳、バドミントン、バレーボール、テニス、サッカー、アイスホッケー、フィギュアスケートといったオリンピックにある種目の他に、ゴルフ、ダンス、エアロビクス、カントリー・ウエスタンダンスなどもある」と書いてある。

あの~。ゲイがスポーツ苦手で興味なかったら、そもそもこんな大会やらないんじゃないの?それとも参加してるのはすべてレズビアンなの?確かにゲイは子供の頃、ボール投げなどが不得意で、野球なんか全然興味がないっていう人もいるよ。でもさ、それがすべてじゃないんだよ?中には身体動かすのが好きなゲイもいっぱいいるよ。だって、ジムに通って身体鍛えてるゲイの人って本当にたくさんいるんだから。それなのになんで「ゲイはスポーツが苦手で興味がない」って決めつけるの?それって「ゲイは女性的」と思ってる、いわゆる「偏見」ってやつなんじゃないの?

あとこういう記述もある。「メイクアップアーティストやスタイリスト、美容師、華道家、編み物の先生、ダンサー、作家などにずば抜けた才能を持つ男性同性愛者が多く存在するという印象があるが、そうだとしたらこうした背景(女が得意とする分野が得意。)があるからかもしれない。」

そういう分野でゲイが目立つのは、今のところは事実かも知れない。けれど、それは誰かがカミングアウトしたことによってカミングアウトしやすい環境なのかも知れないよ。現に今、日本には男性歌手で正式にカミングアウトした人は存在しない。音楽を含むアーティストなどにゲイが多いのだったら、日本の男性歌手の中にもゲイがたくさんいるってことでしょ。でも、今のところ誰も存在しないことになってる。それって日本の男性歌手はみんな異性愛者だからなの?それだと「アーティストに多い」って記述と矛盾しない?あのね、今、日本では「ゲイ」=「オネエ」だと思われているの。オネエじゃないゲイはゲイと「認められてない」の。オネエじゃない日本の男性歌手は、まだ日本ではカミングアウト出来ない存在、そう考えることはできないだろうか?そしてそれを一般論に広げると、芸術の分野以外ではゲイがいてもまだまだカミングアウト出来ない。だからいないことになってる。ホントはいるけどただ見えないだけ。だから実はゲイはどこにでも存在する。そうは言えないか?だいたい「ゲイ」=「オネエ」ってのも偏見なのよ(「ゲイ」=「女っぽい」と思われているのと一致する)。きっと実際には「女っぽくないゲイがいる」と分かったら、異性愛者の人は脅威を感じたり混乱したりするからなんだろうね。だって異性愛者の頭の中は「男(っぽいもの)と女(っぽいもの)が惹かれ合う」という図式しか頭にないのだもの。「男(っぽもの)と男(っぽいもの)が惹かれ合う」とか「女(っぽいもの)と女(っぽいもの)が惹かれ合う」と考えると理解不能で怖いんだろう。それと「ゲイは女をしのぐ才能がある」ってのも偏見。確かにそういう人は存在するだろうけど、その割合がずば抜けて高いなんて、同性愛者の全貌が見えない限り、今のところ誰も何も言えないのだ。

そして「偏見」といえば「左右の脳の大きさの違いという点においては、男性異性愛者と女性同性愛者が似た傾向にある一方で、男性同性愛者と女性異性愛者が似た傾向にあるのだ。」「ともあれ、男性同性愛者は女性的な脳を持ち、女性同性愛者は部分的に男性的な脳を持つことがわかった。あくまで平均的な話ではあるが、巷間で言われている、男性同性愛者が女っぽく、女性同性愛者が(男役の人に限られるかも知れないが)、男っぽいことの理由の一つが解明されたようである。」

あの、、どこが解明されたのかさっぱり分からないんですけど。ただの脳の大きさでなんで性的指向が決められちゃうの?そこにはどういう理屈があるの?脳の大きさと性的指向の関係を理論的に説明して欲しいものです。基本的にこの手の研究は「男性同性愛者の脳」=「女性的な脳」、「女性同性愛者の脳」=「男性的な脳」を持つ、と決めつけているけれど、それ自体果たして真実かどうかは疑わしいのだ。だって誰も明らかにしてないんだもん、その関連性。「男が好きなら女の脳」「女が好きなら男の脳」って最初から決めつけてるんだよね。それは上にも書いたとおり、異性愛者の頭の中には「男と女が惹かれ合うのが当たり前」が基本であって、そのことに何の疑いも持ってないのだもの。本当はそこのところから解明すべきじゃないの?その「当たり前」と思っていることをまず疑ってみれば?

しかも女性同性愛者の「男役」って。。まぁ、昨日の日記には文句付けたかも知れないけど、こういうこと書かれるから「レズビアンとはどんな人ですか?」という質問の答えに「重要な点は、男性的な女性=レズビアンではないと言うことです。同性愛者は必ず異性装をするわけではありません。異性装をしていても性的指向は異性愛である人も多くいます。逆にごく普通にスカートをはきロングヘアーというような、外見上女性のステレオタイプである人にもレズビアンはたくさんいます。むしろそういう人のほうがレズビアンの中では多数派です。外見上の特性と性的指向とはあまり関係がないと考えて、先入観を捨ててください」(医療・看護スタッフのためのLGBTIサポートブック(メディカ出版) (14-15ページ))って書かなきゃならないんだろうね。。ホント、悲しいよね。こういう本を読んだ人が「レズビアンってやっぱり男っぽいんだ」と思う。偏見を植え付けているようなものだよね。

まだあります(笑)

ドミニカ共和国の首都、サント・ドミンゴの西にある、人口4300人ほどのサリナス村の人々の調査をしたところ、24人の偽両性具有の男性が見つかった。「彼らは性染色体の上では男、つまりXYの状態にある(女の場合、性染色体はXXである)。しかし、生まれたときにペニスがなく、というか、クリトリスかと思うような小さな突起があるだけ。睾丸はあるが、腹腔の中に留まっていて、陰嚢へは降りてきていない。さらにヴァギナ(膣)のような行き止まりの袋状の構造や、陰唇のような形の部分もあるのだ。その外見から女の子と見なされ、女の子として育てられるが、やがて思春期を迎えると、声が急に低くなり、筋肉も付いて男らしく、たくましくなってくる。ペニスが発達し、睾丸も陰嚢の中へ降りてきて、射精も可能となって男へと大変身。ちゃんと精子もつくっていて、性的にも女に惹かれる。こうなると正真正銘の男と言える。」この章の題は「性転換する一族!?」って書いてあるんだけど、これ、知ってる人が読めば、性転換じゃなく、明らかにDSD(性分化疾患)だよね。「偽」両性具有ではなく、「真性」両性具有(とは今は言わないけどね)だよね。

ちなみに前に紹介した科学で分かる男と女になるしくみ(サイエンス・アイ新書)にもこの話が載っていて、そこにはこの人たちはテストステロンという性ホルモンをDHT(ジヒドロテストステロン)に化学変換するための酵素(5α還元酵素2)を十分につくることができない人、5α還元酵素2欠乏症の人たちだと書いてある。だから決して「性転換」などではなく、DSDの人たちなのだ。しかも、精子は作られているらしいが、ペニスの先端から精子が出るわけではないので(彼らは元々未熟な膣を持っていて、そこから出るらしい)、体内受精で女性を妊娠させることはできないらしい。ああ、この「同性愛の謎」にも最後に取って付けたように「彼らはテストステロンをジヒドロテストステロンに変える酵素に欠陥がある。そのためにテストステロンの効果は現われるが、ジヒドロテストステロンによる効果は現われないということだった。」と書いてある。てか、それ分かってるなら「性転換」とは言えないだろうが。。まさか、DSDの人たちが存在するってことを知らないで書いたわけじゃないよね?なんか「性転換」という一瞬過激で「ドキッ」とするような言葉で表現するのって止めて欲しいと思う。第一、この人たちはそういう身体に生まれついてしまった以上、それが「自然」なことなのだ。決して「異常」なことではない。それにもかかわらずこのような表現方法をするということは、DSD(性分化疾患)の人を傷つけるばかりでなく、性同一性障害への偏見、ということにも繋がってくる。まるで性転換するのが衝撃的なことで、異常、みたいな。。

最後ね。

同性婚やパートナーシップ法のことも触れてるんだけど、その中で気になったのがフランスのPacs法の記述。「1999年に成立し、施行されたが、2005年に税制や子どもの親権について、男女が結婚した場合とほぼ同じ法的優遇措置がとられるようになるや、異性愛カップルがどっとなだれこんだ。パックスには同性愛者限定という項目がなかったからだ。」って書いてあるんだけど、これ、すごく違和感あるんだよね。だってPacs法って別に同性愛者のパートナーシップを目的に作られたものではなく「連帯民事契約」と訳されるように、ある一定の条件(18歳以上であること、直系親族間、直系婚姻間、三等親以内の傍系親族間でないこと)を満たせば、誰でも契約を結ぶことができるんだから。だから、友だち同士だって構わないわけ。あと、フランスでは元々男女の同棲(事実婚)関係がすごく多かったから、それでパックスを結ぶってイメージがわたしにはあった。

で、実際にこれは2004年に出た本なんだけど、パックス―新しいパートナーシップの形(緑風出版)って本があって、その中には「(1999年から)2001年3月31日までにパックス全体の数は3万7千件に達し、その中の6割は異性愛者のものであると見積もっている。異性愛同棲カップル(250万組)の割合は3万から5万と推測される同性愛同棲カップルの割合よりずっと多いはずであるから、パックスの統計はただ単にこの統計上の現実を反映したものである。」(13-14ページ)と書いてあって、「同性愛の謎」に書かれたような「2005年になって初めて異性愛のカップルもパックスを結ぶようになった」みたいなイメージはない。この本はいちいち「大げさ」なんだよね。なんか「衝撃的」なことを書いてやろう、書いてやろうとして誤解や偏見に加担している、そんなイメージを持つ本だ。

ってわけで、なんかすごく長々と書いて来ちゃったけど、この本を読んで「これが同性愛の実態だ!」なんて思われるとものすごく迷惑なわけ。こういう本が平然として新刊で売られてるんだから、日本もまだまだだよなって思うよ、ホント。同性愛を対象とする本を書くのなら、もっともっと同性愛者のおかれていた歴史や現在の現状、性的少数者一般への知識、を持ってちゃんとしたことを書いて欲しい。

というか、わたし自身「なぜ同性愛者が生まれてくるのか」を解明するより「同性愛者が存在することは自明なのだから、その同性愛者がどうやってこの世の中で生きやすい世界を作るか」を考えた方がよっぽど建設的だと思うけどね。「なぜ同性愛者が生まれてくるのか」が解明できたら、同性愛者が生きやすくなる世界になるとでもいうのだろうか。逆にナチスのように「同性愛者を根絶やしにするため」に利用されるのではないかと危惧する。

ちなみに同性愛のことを知りたいと思うのなら、わたしは今のところ同性愛と異性愛(岩波新書)がお勧めだ。これは別に同性愛になる理由、などは書いていないが、今の(主に)日本における同性愛者の置かれた状況や、今に至る状況などが割と詳しく書かれている。内容も比較的新しいし、どうせ読むならあんなトンデモ本じゃなく、こちらのほうを勧める。
23:50 | (性的少数者)本のこと | トラックバック(0) | コメント(8) | page top↑
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コメント
よくぞ言ってくださった
この本を読み始めて、他の人はどう考えているのか知りたくて検索したら、こちらのブログが表示されました。

女性同性愛者のことを抜きで同性愛について書いている時点で論外てす。

勝手ながらリンク貼らせてもらいましたが、よかったでしょうか。
Posted by: オスカー at 2013/06/08 18:10 URL [ 編集] | page top↑
>オスカーさん
初めまして。コメント有難うございます。

同性愛者がなぜ同性を好きになるか以前に異性愛者はなぜ異性が好きになるかを先に考えてくれって思いますよね。基本、人を好きになることは同性愛も異性愛も同じだと思いますので。それが分かってから同性を好きになることを考えろって。異性を好きになる仕組みも分からないのに同性を好きになる理由なんて分かるわけありません。

リンク、どこから貼ったのか分からないんですが(笑)
特に問題はありませんよ。
Posted by: ron at 2013/06/08 20:07 URL [ 編集] | page top↑
失礼しました。
http://rainbowdiarog.blog.fc2.com/
です。

セクマイ、旅行、歴史、日記などぼちぼち書いています。
なかなか開設工事がすすまなくて。。(笑)

帰りにおすすめの「同性愛と異性愛」探したのですが、岩波新書置いている書店少ないですね。
Amazonで購入しますわ。

なぜ好きになるかはわかりません。
それより、いつでもどこでも同性愛者がいるのは事実ですからね。
何故じゃなくて「いるんだよ」と言いたいですね。
Posted by: オスカー at 2013/06/09 00:11 URL [ 編集] | page top↑
>オスカーさん
リンクの件、わざわざ教えて下さって有難うございます。
というか、記事にリンクしたんじゃなく、このブログ全体をリンクして下さったんですね。
どうも有難うございます。

岩波文庫は新宿の紀伊國屋書店などにあるイメージですが。。
ま、ネットで買っちゃってもいいかも知れないですね。
是非読んでみて下さい。

異性愛者は自分たちのことを「自然」だと思ってるから自分たちのことは考えなくてもいいと思っているのでしょう。

おっしゃられるように「なぜそうなのか」を考えるよりもむしろ「同性愛者がいるのは当然」という考え方が広まってくれたらなーって思います。
Posted by: ron at 2013/06/09 18:35 URL [ 編集] | page top↑
はじめまして。
自分も最近この本の存在をしって読んでみたところです。自分はゲイなんですが、本当に無知なものですから(というか真面目に同性愛の仕組みについて知ろうと初めてとった本がこれで...)、この本を読んだときに純粋に「マジか、そうだったのか」と(恥ずかしながら)納得してしまいました。

しかし、このブログを見つけられたことで、更に自分の無知に気付かされました(苦笑)
いや本当に感謝しています。うっかり半分信じ込んでいたものですから、逆に、レズビアンの方の視点で考えれば一発で分かるものを...ほんとに申し訳ない気持ちです。もっと勉強します(._.)

そしてありがとうございました。今後ちょくちょく遊びに来たいと思います^^
Posted by: j83 at 2013/06/30 00:52 URL [ 編集] | page top↑
>j83さん
コメント有難うございます。

この本結構当事者の人が読んでるんだなーって思いました。怖いですね。

「なんで同性愛者になるのか」なんて今のところ誰も分からないし、
正直、このまま永遠の謎でもいいんじゃないかと思ってます。
別に理由が分かったってどうってことはないですし。

ゲイ関係のことで勉強するなら「同性愛者(性的少数者でも構わないが)がもっと生きやすくなる世の中にするにはどうすればいいのか」とかジェンダー関係の本を読んだ方がこの先の人生豊かに生きられると思いますよ。

ブログ、最近はほとんど更新してないし、更新しても病院ネタくらいしかないので申し訳ないです。。(笑)

それでもよければまた来て下さいね!
Posted by: ron at 2013/06/30 17:32 URL [ 編集] | page top↑
Ronさん、こんばんわ。
こんな本があったんですね。
ある方のSNSの書き込みで、この記事を知りました。

Ronさんの解説を読めば読むほど、
「失笑」としか言えない事ばかりこの本は書いていますね。
何も当時者の事なんて、1つも解っていないのにも関わらず、
専門家ぶって書いているのが非常に怖いですね。

できるならこれからの若者や、
理解しようと思っている方には、
手に取って欲しくない1冊ですね。
Posted by: moonmirror at 2015/01/24 23:04 URL [ 編集] | page top↑
>moonmirrorさん
コメント有難うございます。

こんな本、あったんです。
わたしはこれを当事者が無条件に信じてしまうことが怖いです。
自分のことに当てはまるからといって、それが「正しい」とは限りません。
例えば、

男兄弟が多い=その中に同性愛者がいる可能性が高い

のは当たり前です。人が多いと同性愛者が生まれる可能性は高いに決まってます。
(おおざっぱな言い方をしてしまえば、子どもを20人生んだとすれば、そのうち1人は性的少数者であるってことです。だって統計的に20人に1人は性的少数者だという調査結果が出てますからね)
これは男兄弟だけでなく、女兄弟にしたって同じです。女兄弟が多ければ多いほどその中に同性愛者が生まれる可能性が増えます。この調査は「ゲイ」しか見えてないから、このような結果になってしまうのです。

この人は、人間が「環境要因」によって行動に差が出ることをまったく考慮していません。
純粋に生物学的な議論がしたいのであれば、人間の行動から「環境要因」を差し引かねばなりません。

ただ、この人だけの問題でもないです。だってそういう研究発表をしているのは別の人たちで、この人はそれを適当にまとめただけですから(何の批判もなしに全部信用しているのは大問題ですけど)。研究者自体が性的少数者のことについて全く知らないから、このような「ゲイ」のみに照準を合わせたような実験しかできないのです。

本当にわたしはこれを読んで、同性愛の謎が解けたような気にはなって欲しくないです。
人間はこんなに単純なものではない。もっともっと複雑なんです。だから容易に解明されることなんてないと思います。
Posted by: ron at 2015/01/24 23:30 URL [ 編集] | page top↑
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