09-19 Sun , 2010
心が揺れる
shintoku空想の森映画祭の2日目、「TOKYOアイヌ」という映画を観た。2時間のドキュメンタリー映画だが、2時間があっという間に過ぎてしまうほど面白いがしかし、とても考えさせられる映画だった。

わたし、アイヌ民族のことについてはほとんど何も知らないに等しい。高校の時だったか、国語の教科書に知里幸恵のことが載ってたりしたのを覚えてるとか、喜納昌吉が出した「祭」ってCD(元は多分レコードじゃないかな。わたしが持ってるのはそれがCD化されたもの)の中に「アイヌプリ」って曲があって、今思えば(これまでずっと知らなかったことだが)その曲は、アイヌのかけ声だとかアイヌのリズムだとかが使ってあったんだなあ、ってのがこの映画を観て初めて分かったりしたほどだ。実はこの映画を観ている間中、わたしの頭の中ではこの「アイヌプリ」がぐるぐるぐるぐる回って鳴っていて「そうだったんだ、そうだったんだ」ってずーっと思ってた。

これ以外はアイヌ民族に関するイメージは全くない。だって、今までわたしの周りで「アイヌです」っていう人なんて誰もいなかった(知らなかった)んだもの。。映画の中でアイヌの人たちが「アイヌは外見を見ると分かるから」なんて言ってたけど、わたし、分からないもの。映画にたくさんのアイヌの人たちが出てきたけれど、わたし、この人たちが街中を歩いてたとしても絶対にアイヌとは分からないし、一体、彼らの顔のどこに共通点があるんだろうって思ってた。

ただ、社会的なマイノリティーって共通点があるんだよね。。細かいところではもちろん違うんだけれどもさ、やっぱり話を聞くとセクシャルマイノリティーとの共通点があるんだよ。もうそういうところが自分の心にチクチクつきささってきてね。「あー、その気持ち、とてもよく分かるなあ」とか「こういうところは同じだよね」って何度も思ったりしてた。

その一方、アイヌの人たちにとってわたしは「シャモ」とか「和人」とか言われる人種なんだなあということを強く思ったし、その点でわたしは圧倒的マジョリティーに属しているわけだよね。で、これって、立場的には在日コリアンの人たちに対するそれと同じなんだよなあ、とも思った。そしてこれまた何度も「わたしは、彼らに対して何をすればいいのだろう、何ができるんだろう」って思った。「今まで知らなかった、じゃすまない問題だよな」と思ったし「でも、まだまだ知らないことってたくさんあるよね」とも思ったし「でも、こうやって生きていく間に在日のこととかアイヌのことを知ったように、今は知らないけれど何かの機会で知ったことに対して、一つずつ、誠実に考えていくしかないんだよな」とも思った。そしてそれは、例えば異性愛者の人が何かの拍子に性的少数者のことについて知ったときに「ああ、こういう問題があるんだ。どうしたらいいのかな」って考えて欲しい、という気持ちの裏返しのような気もした。

そして、わたしは在日の人やアイヌの人たちに「どうしたらいいのか」と考えることと、わたしが異性愛者の人に「こういうふうにして欲しい」と思うのは、もしかして共通点があるような気がしたし(というか、前からそう思ってたけど、今日はそれをいっそう強く感じた)その方向で考えていけば、きっと自分なりに何をどうすればいいのか、ということが分かるんじゃないかなと思った。

わたしが表面的に目にできるのはアイヌの文化だけれど、そのアイヌの文化に対してただ「へえ」って感心してるだけじゃダメなような気がする。その文化はどういう状況で継承されてきたのか、そして将来にわたってその文化を継承する権利を彼らは持っていることを認める、認めるというのはちょっと上から目線かな、理解すると言えばいいのか、そこら辺の言葉がわたしにはうまくは言えないが、とにかく彼らはアイヌとして誇りを持って生きる権利を持っていて、それは誰にも奪えない権利なのだと言うことを頭に焼き付ける、とでも言えばいいのか。。

アイヌのいろいろな儀式や歌、踊りなどの映像を見ながら、しかしわたしは決してこの人たちの中に入ることはできないのだ、と感じていたし、だけど、入れないけど、わたしはその人たちと一緒に生きていきたい、とも思った。

この映画は観て思うことが本当にたくさんあり、それがとても面白かった。

最後に。アイヌの言葉で「考える」というのは「心が揺れる」と表現されるそうだ。その点に置いて、この映画を観てわたしは本当にたくさん心が揺れたし、見終わった今も心が揺れている。
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