09-10 Thu , 2009
「あんにょん由美香」観てきた
今年の2月だったかなあ~?「在日コリアン映画祭」ってのがあって、その中のプログラムに「あんにょんキムチ」っていうのがあって、その後のトークで監督自身が「あんにょん由美香」という映画を作った、ってことを言ってたんだけど、それが上映されるってのを、偶然、東京国際レズビアン&ゲイ映画祭でフライヤーが置いてあったんで知って、でも、いろいろその間あったので観に行けなくて、ただ、これ評判がよかったのか、ずっとロングランしてて、で、ようやく今日、観てきた。って、すごい長い一文だ(笑)

んー、観た感想なんだけど、確かに「あんにょんキムチ」の方はドキュメンタリーって感じがしたんだよね。しかし、同じドキュメンタリー映画でも、この「あんにょん由美香」はあんまりドキュメンタリーって感じがしなかったんだよね。。ま、それでも最初、映画を撮り始めたときは、あんな終わり方にはなるとは監督自身も思ってなかった、という点では、やっぱドキュメンタリーなのかなとは思うけど。

あ、「あんにょん由美香」の由美香って人は、林由美香っていうAVとかピンク映画では非常に有名な人だったらしい。しかし、2005年の自分の誕生日の1日前になくなってしまったらしい、34歳の若さで。で、監督は生前にこの由美香さんに自作の映画に出て来てもらったんだけど「松江くん(監督の名前)、まだまだね」と言われたことで「よし、いつか納得できる映画を撮ってやろう」と思う前に亡くなってしまった。それが監督の中でとても心残りだったことが一つ。そして、亡くなって1年後に行なわれた追悼集会(?)で、実は韓国のAVにその人が出てて、それがまたすごいへんてこなAVで、そのAVを作った監督は韓国人、男優も韓国人が主なんだけど、撮影場所は日本。そして出てくる女優さん、あと日本人の男優さん、しかし話される言葉は日本語。韓国人の男優さんも拙い日本語で話し、なんとハングルの字幕付きっていう、ちょっと変わったAV(ビデオ)だったのだ。

内容も突拍子もない、と言えども、多分、AVとかって、日本のでも結構突拍子もないストーリーが多いと思うんだけど、なんというのかなあ~、こちらからしてみれば、韓国の人が拙い日本語で話す(しかもちょっと日本語っぽくない日本語で)のが、とても奇妙なんだよね。

で、この監督は「なんで林由美香がこの映画に出たんだろう?」という疑問から、この映画がスタートするわけなんだけど。

んー、なんというのかなあ。。割と「意図的」ではあるドキュメンタリーなんだよね。林由美香を撮った監督たち、しかもそのすべてが私生活でも肉体的な関係にあった、という人たちが3人出て来て、彼女を語る。あ、その前に一人、評論家みたいない人が出てくるけどね、しょっぱなに。そしてそれぞれの監督が彼女を撮ったというところに行って、彼女を語る。チャリで峠を越えたシーンがあれば、その当時の監督さん(てか、不倫関係にあったらしいがその当時)と一緒にチャリで峠を越えてみる。どこまでも続く坂道にウンザリした監督は、チャリをその辺に置いて、自慰行為を始める。えーと、そういうシーンまでこの松江監督は自分で再現してみたりする。

どうせ、韓国に行ってどうにかなって終わるんだろうなーと思ってたんだけど、ま、それはそれで当たってたわけだけど、その前の北海道のチャリのシーンはちょっと長かったかなあ~?って感じはした。

で、撮影を続けつつ、当時の映画に関わった人たちを探し当てて、そこからまた次の繋がりへ、となっていくんだけど、カメラマンだった柳田さんって人だけ、なんかひょっこり現われるんだよね。でもその柳田さんのおかげで、当時、通訳をしてた韓国の人と繋がって、そしてその人からその映画を作った監督に繋がっていくので、実はとても重要な役割をしている人なんだけれども、ちょっと登場するのが突然だったんで、そこは「あれ」って感じは持った。

そして、監督は韓国に渡って、まず、通訳だった人をインタビューするんだけど、その人は今、会社を興しており、こういう仕事(当時日本に来てた留学生だったらしい)は「恥ずかしい仕事で、できたビデオも観ていない」「韓国ではこういう仕事をしていたら『ヘンタイ』と思われる」と、語る。

次に韓国人の男優さんが出てくる。劇中では由美香のダンナ役の人だった人だ。「お金が無かったからAVに出たけれども、韓国ではAVに出たというだけでもう、普通のオーディションさえ受けられない」と語る。彼は今、何をやってるのかは一言もしゃべらなかったんだけどね。男性でもそんな感じだから、女性なんかなおさらだろう、ってんで、女性はぜーんぶ日本人だったんだよね。わたしは最初「犯す=韓国人」、「犯される=日本人」って構図にしたかったのかなと思ったんだけど(歴史的な経緯とかも含めて)、それはちょっと考えすぎだったみたい。

なんせ、監督自身も韓国のAVじゃなく、日本のAV観てる人だったみたいだから。というか、日本のAV女優さんの演技は派手だからいいって言ってたけど(これって、わたしから言わせると「やらせ」以外のなにものでもないと思うんだけど。だから、個人間のSEXに於いて、誤った知識とか出てくるんだよね~、ってそれは置いておいて)そのときに言ったセリフがね「気持ちいい~」と「止めて~」だったかな。それを聞いて、わたしびっくりしてね。というのは、シドニーでわたしが語学学校に通っていたときに知り合った韓国人の男性が、どーも日本のAVをよく観てたみたいで、同じことを言ってたんだよね~。だから、あ、日本のAVって多量に韓国の男性に観られてるんだって、そのとき思った。

しかし、この監督は今は引退してるらしいんだけど、一番最後の作品は、ヨン様の初主演の映画だったとかで、監督はAV撮ってても、普通の映画も監督できるのかなあ~?とそこは疑問だった。

あと、松江監督自身が「なぜこの作品は日本語で作られたのか」について直接監督に聞くんだけど、監督は「最初は韓国の俳優は韓国語で、日本語の俳優は日本語で、で、日本語の部分は字幕にしようと思っていた。けれどもなんとなしに日本語でやろうってことになって、日本語になった」って話してたんだけど、あれはどうもウソっぽいと感じた。。だって、韓国の会社が作るAVだよ?例え舞台が日本であっても、日本人に韓国語を話せ、と言うのならともかく、韓国人に日本語を話せってのは、やっぱどう考えても変だよね。日本人スタッフの間では「日本というイメージを付けたかったんじゃないか」とかいろいろ言ってたけど、果たしてそうなのかなあ~?ここのところがわたしは納得は行かなかった。多分、何か他の理由がありそうだと思う。

しかし、映画全般を通して語られる彼女ってのは、なんというのかな、よく言えば、普通SEXシーンのときには前張りするけれど、彼女は『前張りなしで』と言われても、全部OKだったとか、なんというのかな、本気で演技していると言えばしている、そこが素晴らしくカッコイイ、みたいな言われ方?19歳のときに「AV以外の仕事でも食べていけるんじゃないか」と言われたときに「自分はこの仕事以外は自分じゃないような気がする」というこの2つが「彼女のイメージ」なわけね。で、人は「二度死ぬ」という。一回目はその人自身の死で、もう一回は、その人がすべての人の記憶から忘れ去られたとき。

この映画は「一回死んだが、もう一回は死なせはしない」という感覚で作られているものではないのかな、ってことをちょっと感じたのね。そして、実はこの作品には「なぜか作られなかった最後のシーン」ってのがあって、それを引退した韓国の監督や俳優をまた日本に呼んで、新たに作る、というところまでいく。そしてその新たに作った部分は「林由美香」というAV女優がどんな女優だったか、を総まとめするような感じの形だったんだよね~。

私生活は一切語られず、残された画像のみしか彼女は写らない。その「画像の中のみ」の「生き方」を彼女全般の「生き方」に転化したようにわたしは思えたし、この映画を見終わって、彼女(もちろんわたしの彼女)と激論になったんだけど、多分、(わたしの)彼女が気に入らないのはこう言った部分ではないのかなと感じている。わたしもそれはよく分かる。けど、わたしは話の初めが「なぜ由美香さんは韓国のAVに出る気になったんだろう」という疑問から始めたら、やっぱ、終わり方はこういうものなのかな、って感じはするんだよね。

ある意味「実はあの話には撮られなかった最後があって、それをあれから7年経って、彼女がいなくなってしまった今、そこの部分を取り直す」、そしてその「取り直した部分」を「AV女優だった彼女に送るためのもの」、それをもって松江監督は林由美香という人と一応折り合いを付ける、とするのは、なんだかドキュメンタリーにしては出来すぎていると思うけれど、まー、そうなっちゃったんだから、仕方ないのかな。

しかし、不思議なのは、この林由美香って人、わたしは全然知らなかったんだよね~。すごくたくさんのAVやピンク映画に出てたらしいが、知る人ぞ知る、人だったらしく。そこのところがわたしには不思議でたまらないし(ただ、AVはともかく、ピンク映画はわたしは観に行けないからなあ~(苦笑))、実際、この人の私生活ってどうだったんだろう、性格はどんな人だったんだろう、仕事をしているときとは全く違う顔だったんだろうか、それとも同じ顔だったんだろうか。それがまた、不思議なところではあるんだよねえ。。

あ、東京では東中野の「ポレポレ東中野」でやってるけど、明後日以降は21時からのレイトショーのみとなって、確か、上映期間も決まったらしいよ。観たい人は是非。
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映画「あんにょん由美香」
監督:松江哲明(映画どんだけ観てんの?って方) 出演:林由美香 ユ・ジンソン 入江浩治 キム・ウォンボギ 出演:カンパニー松尾 いまおかしんじ 中野貴雄(名コメ連発) 「松江君、まだまだね」憧れの亡き女優「林由美香」の言葉と、 残された1本の彼女... おそらく見聞録【2009/09/11 15:14】
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