04-29 Wed , 2009
映画「MILK」を観た
今日じゃないんだけど、「MILK」を観てきた。しかも2回。

あ~、知らない人に簡単に説明すると、1970年代にサンフランシスコでゲイをカミングアウトした「ハーヴィー・ミルク」という人が、4度目の選挙(うち1回は下院議員、その他3回はサンフランシスコ市の市政執行委員)で、市政執行委員になったのだが、たった10ヶ月後に同僚の市政執行委員だったダン・ホワイトに当時のサンフランシスコ市長とともに暗殺されてしまったのね。

映画はそれまでニューヨークでビジネスマンをやっていたハーヴィーが、サンフランシスコに来て、カミングアウトして選挙に挑んで、選挙当選後、「提案6」という「同性愛者の公立の教師は全て解雇する」というめちゃくちゃな内容の提案に反対して、その勝利を勝ち取る、しかしその数日後に同僚に殺される、という、まー、事実を元にした映画なのね。

わたし、この映画を観る前に「ゲイの市長と言われた男」(上)(下)を上巻3回、下巻2回読んでて(だってね、誰が誰かすぐに忘れるんだもの。別れた恋人の名前がずっと後になってポコって出てくるから、何が何だかすぐ分からなくなってね(爆))それに加えてドキュメンタリー映画の「The times of Hervey Milk」も観たもんで、正直、知識はバッチリ状態、だったんだけど。

1回目に観たら、完全にそれが仇になり、「ここ、本と違うじゃんか」「これも違うじゃんか」とか「これも違うじゃんか」ってもう、そればっかり気になってね(苦笑)正直、全然感動も何もしなかったの。

逆にね、観てて痛かった。。

何が痛いかというと、「マジョリティーは、既に何もしなくてもその権利を持っていて、自分の人生は自分の生きたいように生きられるのに、マイノリティーはマジョリティーが持っている権利を同じように持つためだけに、一生、その運動に身を捧げなければいけないのか」と思ったら、その人がもし、マジョリティーであったなら、全然別のことをして社会に貢献してたかも知れないのに、なんてもったいないんだろうって思ったことと、30年前の「提案6」は阻止したが、去年の「提案8」(結婚は男女だけに限られたものである、という、まぁ同性婚反対の提案)は可決されてしまったじゃないか、あれから30年も経つのに、まだまだマジョリティーと同じ権利をマイノリティーである同性愛者は持てないのだ、という悲しみが一挙に押し寄せてきて「あー、勘弁してよ」って思ったのね。

それから映画の中で、「提案6」を阻止するためには、クローゼットに閉じこもっていてはダメだ、カミングアウトするべきだ、とハーヴィーが強く語る部分。その中の若者の一人が「まだ父親にはカミングアウトしてないんだ。。」って言ったとき、なんとハーヴィーはそこにある電話を持って、そこでカミングアウトの電話をかけろという仕草をするところね。ここは、本当に痛かった。恐怖さえ感じた。だって、カミングアウトって恐怖だもの。そんなに簡単に電話をかけて伝えられるものではない。そこのところは自分自身の経験とも重なって、本当に観ていて痛かった。

最初に観た感想って、これだけ。そしてわたしはちょっと絶望的な気分で帰ってきたわけだけど。彼女に「もー、本に書いてあることと全然違うことでさー、それが気になって気になって」って言ったら「あれは映画として脚色もしてあるんだから、当たり前でしょ。全部忠実に再現するわけないじゃない」って言われて、しばらくは「うー、でも、あそこもなー、ここもなー」って考えてて、それから2回目を観に行ったわけだけど。

1回観て「本と違う」ところは気持ちがすっかり消化していたからか、1回目のときよりは随分映画の中に入れたような気がする。最後のキャンドルナイトのシーンでは、ちょっとうるって来たからね。

んー、あとは40歳の誕生日のときに、駅で声を掛けてそのまま恋人になってしまったスコット・スミスに「40歳になったけれど、これまで誇れるものはなにもやってない」って言ったときはね、もー、今のわたしなんかまさにそうじゃん(爆)しかもわたし、あともう少しで41歳になるし(爆)あれはわたしの耳が痛かった(笑)

ただねー、あの人、40歳まではクローゼットで生きてきて、突然サンフランシスコにやってきて活動家になったでしょ。あの「気持ちの変化」がね、正直分からないのよ。ま、確かに40歳の誕生日に「自分を変えたい。。」と映画では語らせているけれども、本を読むと、そこら辺のことがよく分からないのね。まー、当時流行っていた「ヒッピー」に共感して、考えもそれまでバリバリの保守派の考えだったハーヴィーが急に「ゲイの権利」を訴えるという、、そこのところ、この本を書いたランディー・シルツにも分からなかったんじゃないかなあ~?あの当時恋人だった、スコット・スミスにも(分かっていたら本に書かれるだろうし)。

で、本人は自分の親兄弟にはカミングアウトしておらず、まぁ、当選する前に両親は死んじゃって、兄はハーヴィーが暗殺されたあとも生きてるんだけど、まー、あんなに大々的な話になったら、自分でカミングアウトするよりも、どこかニュースとか人の伝え聞きでばれてるよね。まー、映画では「兄も多分知っているだろうし、両親も知っていただろう」で終わってしまってるけど。でも本によると、学校の同級生なんかとは、一切、連絡取っていないみたいなので、ハーヴィーの人生って、ホント、クローゼット時代とゲイの活動家時代とパカッと半分に割れるようなイメージをわたしは持っている。その両方を知っているのは、ハーヴィー・ミルク本人だけ、というわけだ。

まー、もう3回目は観る気はないが(笑)、1回目に観たときに覚えた「絶望感」と「恐怖感」というのは、わたしの中に残っていて、多分、消せないと思う。

映画自体は、やっぱり「ストーリー性」」を持たせなければいけないので、「あれあれ、本当はここで言ったんじゃないのに」ってのがいくつもあるけど、言ったことはちゃんと本人が言ったという記録は残っているので、あながちウソじゃない。ただ、それがとても効果的な場面に仕上がっていただけだ、映画では。また、映画では暗殺されたときに再生するように指示があったテープだが、本当はあれを作成したのは、市政執行委員になった直後で、死ぬ1週間前じゃない。しかも、テープは3本あって、どれも立会人がいたそうだ(本による)。その3本のテープは言っていることは微妙に違っていたが(主に自分の後継人が誰がいいかということを述べているテープなのだが)、その中の一つにあのかの有名な「自分の頭を銃弾が貫いたとき、クローゼットの扉もすべて打ち抜いてくれ」という言葉があったという。

あと、ドキュメンタリー映画の「The times of Hervey Milk」の映像も多々使われているんだけれど、それと同時にそれとよく似せたセットとかシーンとかあって、一見、どれがドキュメンタリー部分で、どれが映画部分か分からないほどの技術で、それは単純に「うまいなー」って思ってみてた(笑)

んー、事前にいろいろ勉強しない方が楽しめたかも知れない、と思った映画だった(苦笑)

彼が10ヶ月じゃなくて2年、3年と市政執行委員で仕事をしていたら、、と思うと、残念でならない。彼のような「カリスマ性」を持ったゲイの活動家(ただ、市政執行委員になってからは、ゲイのためだけに仕事をしていたわけではない)は、もう出て来ないだろうなと思うと。。

あ、それで今日は尾辻事務所クロージングイベントってことで「EXECUTION OF JUSTICE」って、今度は暗殺したダン・ホワイト側から見た映画を上映するってんで、観てきたわけだけど。

もー、なんで事実と異なる設定をするのかしら、ってわたしはそれについては本当に気になってしまうので仕方がない。「ゲイパレード」のシーンは、映画の中ではダン・ホワイトはまだ市政執行委員じゃなかった。けど、あの演説をやった「ゲイパレード」は'78年のことで、ハーヴィーもダンも既に市政執行委員だったはずだ。あそこで独立宣言に書かれている言葉と自由の女神の台座に書かれている言葉を引き合いに出して、アニタ・ブライアントやそれを支持する「偽善者たち」に「出て行け」と言ったのは、提案6の反対のためだったからだ。

あと、あの映画の最大の問題点ってのは、あの裁判に対する陪審員の選び方が一番問題があったのに、そのことについて一言も触れなかったこと。あの裁判で「2人とも故殺」としたのは、選ばれた陪審員がすべて裕福な白人でマイノリティーは一人も入っていなかった。いわば、ダン・ホワイトに同情しそうな陪審員たちがわざと選ばれていたのである。そのことを伏せて映画は作られていたけれど、わたしはその作り方には疑問がある。あれでは「一生懸命やっても全部裏目に出てかわいそうなダン・ホワイト。最後は自分でどうすればいいのか分からなくなって、自信をなくして市政執行委員の辞表を出したのはいいが、周りからまたとやかく言われて撤回するような、半分病気みたいな男に暗殺されてしまった、もっとかわいそうなモスコーニ市長とハーヴィー・ミルク」って感じがして、やりきれなかったよ、ホント。

あ、そうそう、せっかく観に行ったってんで、買ってきたもの。

P1030133.jpg


これねー、「No on 6」と「No on 8」の両方売ってたんだけど、わたしは既に「提案6」の方はいいから、「No on 8」にしてみた。今さらこんなもの付けてどうするの、って感じだけど。。(結局去年の「提案8」はどうなったわけ??)

それから恒例。今日のミニバラとワイルドストロベリー。

P1030129.jpg


な、なんと、缶に巻かれていた紙が剥がれかけてて危ない!
しかも、今日、上から水掛けてたら、ミニバラの種が出てきてしまった!!!
つくづく花を栽培するのは(まだ花にもなってないけど)、自分は向いていないなあと思いました。。
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