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01-07 Wed , 2009
「中国の植物学者の娘たち」を観て
去年の今ごろだったか「『中国の植物学者の娘たち』という映画が公開されています、病気がよくなったら観に行かれたらどうですか」というメッセージをもらっていたのだが、残念ながら、そのときから病気がどんどんひどくなっていったので、この映画を映画館で観ることはできなかった。

しかし、去年の12月の初め頃だったか、ふとそのことを思い出し、Amazonで調べてみたら、DVDが出ているとのこと(中国の植物学者の娘たち スペシャル・エディション [DVD])。観たいと思ったので、買ってみた。映画館ではもう上映されていないみたいだったので。

物語は非常に単純なものだ。

舞台は中国。1976年の唐山地震で、父が中国人、母がロシア人という両親を亡くした、リー・ミンという女性は頼る親戚もなく、3歳のときから施設で育てられる。そしてある時、1ヶ月半という短い期間、昆林医科大学の植物園にいるチェン教授の下で実習生として働くことになる。

そのチェン教授には娘がいた。母を10歳のときに亡くし、ずっと父、チェン教授の元で父の面倒をみながら過ごしていた。名前はチェン・アンという。施設でずっと孤独を抱えながら過ごしてきたリー・ミンと狭い植物園の中で父の面倒をみてきたチェン・アンはお互い、恋に落ちる。

あるとき、人民解放軍の兵士である兄が赴任先のチベットから戻ってくる。そのときにリーを見初める、アンの兄、タン。リーはアンに「お兄さんから求婚されたけど断わった」という。アンは「兄はただの兵士で士官ではないから、規定によって妻子をチベットに連れて行けない。だから、兄と結婚したら、リーはわたし(アン)と一緒に植物園で暮らせる」と提案する。

昆林の郊外にある山の寺院(よく植物採集に行くらしい)で、たくさんの鳥がカゴの中にいるのを見て、リーがそこにいる坊さんに「これはなんのためにあるのか」と聞く。すると坊さんは「観光客のためだ。観光客の願いこめて、この鳥をカゴから放つのだ。そうすれば願いが叶う。そして願い事によって飛ばす鳥の数が違う」と。そこでアンが「二人が一生愛し合うには何羽飛ばせばいいか?」と聞く。「64羽」と答える坊さん。次にリーが「二人が一生離れないためには、何羽飛ばせばいいか」と聞く。「108羽」と坊さんが答える。

二人はその後、寺院の放生台に行き、二人で愛を誓い合い、そして湖に向かって鳥をカゴから放つ。

アンの兄と結婚することになるリー。しかし、結婚式の前日にアンとリーはお互いに貞操を誓う。

結婚式のあと、ハネムーンに出るアンの兄、タンとリー。しかしリーは不安そうでアンに「付いてきて」と頼む。タンはあきれ果てて「ハネムーンだぞ」という。列車が発車する。いつまでも列車と共に走るアン。それを止める父、チェン教授。

ハネムーン先のベッドの上で「なぜ処女ではない」とタンから責められるリー。彼はリーを散々殴った挙げ句、怒ってリーの両手を縛り、天井からぶら下げたまま、自分は赴任先のチベットに戻ってしまう。

なんとかかんとか植物園に戻ってきたリー。アンは傷つけられたリーを見て父親に怒るが、父親は自分の息子がしたことだから、と取り合わない。

それからはアンとリーの幸せな日々が続く。しかしあるとき、チェン教授がアンとリーが植物園の中の温室で抱き合っている(本当は抱き合ってないけど)のを見て、リーに向かい「この魔物め!」と言って、近くにあったスコップを振り回し殴ろうとするが、逆にアンに倒されるチェン教授。

アンとリーは裁判所で裁かれる。

裁判長がこう述べる。「チェン教授が亡くなる直前、病院のベッドで教授が警官に供述した事件の概要を読み上げる」と。すると検察官が言う。「みなさんに問いかけたい。この事件がなぜここまで社会に大きな衝撃を与え、人民の怒りを買い、政府が重要視するかを。教授が亡くなる直前に語った証言によると、教授の直接の死の要因は教授の持病の心臓病ではなく、彼の娘と息子の嫁が患った病、その病気は同性愛、である、と」

裁判官が言う。「自然の摂理に反する同性愛が発端で、植物学者である父親を死に至らしめた、チェン・アン、リー・ミン。罪は明白。法的にも、道徳的にも、社会的にもその行ないは許し難く厳罰に処す」と。

そしてリーから生まれ育った施設の院長先生のところに手紙が届く。「わたしの裁判で先生が自分について誉めてくれたことが嬉しかった。それ以外の裁判はわたしにとっては何の意味もない。ただ、わたしを裁けるのは、チェン・アンだけ、あるいはわたしたちの愛情」「院長先生、施設の庭の手入れはできそうにありません。施設は自分にとって自分の家同然。だから2つお願いがあります。一つは自分の死刑執行で使われる銃弾の費用、7元8角。それから、処刑されたあと、チェン・アンと自分の灰を一緒にして、昆林郊外の山の寺院の放生台に行き、湖に撒いて欲しい」と。

院長先生は遺灰になったリー・ミンとチェン・アンを持って、寺院の放生台に行き、二人の遺灰を混ぜ合わせ、湖に撒く。その光景を見て祈る坊さん。湖の上で、鳥になったアンとリー・ミンの笑い声が響く。

まー、こんな内容(長くなった(^^;)。

んーとねー。率直に感想を言わせてもらうと、確かにこれ、とてもきれいな映画だったの。これを映画館で観たらとてもきれいな風景もあるし、その部分は感動するだろうなと思った。けどね、話の内容が、、確かにこの二人のなんというのかな、妖艶さはそんなにエロいことはやっていないにもかかわらず、とてもエロティックなのね、なまめかしいというか。ただ、身体を重ね合わせているだけなのに、ものすごくエロティックな感じがする。そういうところはとても上手いと思う。

けどね、なんというか、、わたしにはもう一つ心の中に入ってこなかったのは、そのシーンがただ美しかっただけだからかなぁと思う。この二人、会って、ごく自然に好きになっていくんだけど、そこの描き方がちょっと物足りないというか。確かにこの二人が会う以前は二人とも孤独だった。だから、お互いに孤独を埋めるために求め合ったのは分かるんだけど、それと「恋に落ちる」はまた別問題じゃないかと。恋に落ちるというのは、なんかそこまでに至るためらいとか不安とか(それは別に同性愛がどーとか、ってんじゃなくてね)、そういうものがあったりしてもいいんじゃないかと思うんだけど、そういうのは全くなかったんだよね。

だからね、逆に言うとすんなり惹かれすぎて、物足りないの。だから、二人が一緒にいて幸せそうな顔してたり、いろいろするんだけど、そこの印象が薄いのね。

で、ここの印象が薄いのに比べて、裁判のシーンはとても重い。ちょっと裁判のシーンだけ、日本語で言われたとおりを文字起こししてみたんだけど、これがね、まともにズシンと胸に来るのね。本来だと、二人が幸せそうに愛し合っている場面とこの裁判の場面ってのは、対局の位置にあるものでしょ。そのうちの二人が幸せそうに愛し合っている場面が、わたしにとってはちょっと貧弱だったために、逆に裁判のシーンがめちゃくちゃ重くてね。で、それは単なる重みでしかなくって、それが心まで響いてこなかった。

この映画はある意味「同性愛の悲劇」を描いたものだと思うんだけど、なんというかね、「あー、なんかありがち」って感じがしたのね。でもありがちなんだけど、あまりわたしの胸には響いてこなかった。

それと同時に沸々と疑問点が。「中国って、同性愛が罪になると死刑になる国だっけ?」とか(ILGA:The International Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender and Intersex Association のサイトにある「世界のLGBTIの権利マップ」←死ぬほど重いから、開けるのに注意。には、中国のLGBTIは日本と同じく、なんの保護もされてないし、何の罪にもならない、となっている。まぁこれはただの参考ね)、映画の中で「同性愛という病気である」と言ってるのなら、死刑じゃなくて病院送りじゃないのか、とかね。これほど社会を震撼させて、死刑になっちゃった人のね、遺灰を一緒にして湖に撒いて欲しい、なんて願いは普通だったら無視されるんじゃないか、いくら死刑囚の願いでも、それを聞き届けたら、今度は聞き届けた方の身が危ないんじゃないか、とかね。そういう疑問が湧き上がってくる訳よ、現実的な問題として。

で、もっと具体的なことまで書いちゃうと、リー・ミンは、結婚式の前日、チェン・アンに貞操を捧げているわけだけど、かといって、彼女たちはあんなところではまともにSEXなんかできなくて、せいぜいできて指入れられるくらいだろとか思うんだけど(分からない人はそのまま分からないでいいです(爆))、ハネムーンで夫から「なぜ処女じゃない!」って責められたのは、きっとその前に貞操を捧げたからだと観客には思わせたいんだろうなと思うんだけどね。えーと、別に処女が初めてSEXしたとて、全員が全員出血するわけじゃないしね、その前に指入れられて処女じゃなくなったとしてても(意味が分からなくてもいいです(笑))、そのために次に男とSEXしたときに、処女であるかないかなんて分からんじゃないの、って思ったりする(笑)要するに何が言いたいかというと「不自然」の一言が言いたいわけで(爆)なんだかなあ~、、ちょっと古くさい観念だよね、って思うのね。

ちなみにこのDVDにこの映画のメイキングの場面が40分くらいくっついてるんだけど、これ見たらね、どうもテーマがテーマだったので、中国本土では撮影許可が下りなかったらしい。なんで、すべてあれはベトナムで撮影したそうだ。で、監督は中国人なんだけど、両親が医者だったらしく、文革のとき17歳から3年ほど再教育を受けさせられて、その後、政府給費留学生としてパリに渡ったらしい。

その監督は、メイキングでこのようなことを言っていた。

「これは激しい同性愛の物語ではない。若い二人の女性があるとき、不意に愛を求めてしまうんだ。それが物語の本質で、脚本を書くときに一番苦労した部分だ」

。。。確かに「不意」過ぎて、わたしにはよく分からなかったっす(苦笑)そして、激しいものではなかったので、わたしにはちょっと物足りなかったのだろう。これは作る側とわたしの受け取る側が不一致だったのよね。だから、作る側はおそらくそれで十分だと思って作ったのだろう。

「自由のために作ったとは言わない。中国人の考え方を改めようなんて野心もない。第一、わたしは政治的なことを言う人々は信じない。彼らが真摯でもね。政治は権力に結びつくものだからだ。権力は腐敗しやすい。少なくともわたしの映画やわたしの書くものは権力を持つための手段ではない。わたしは単に個人的な探求をしている。あるいは個人の自由を探求している」

多分、この監督のこの発言は、監督自身がいろいろ背負わされてきたものによって、このように言わせているんだろうな、と思ったりする。いや、それならそれで別にいいのだ。この作品で声高に「同性愛は異常な愛ではない」と叫ぶために作ったわけではなく、ただ、あのような女性二人が自然に恋に落ち、そして国家によって理不尽な殺され方をしたけれども、最終的には彼女らの願いは叶えられ、二人一緒になって、永遠に生き続けるのだ、とそういうことを描きたかったのだろうと思う。この話に政治的なメッセージなどはないと思う。

だけどね。わたしとしてはその方法として「同性愛」を使って欲しくはなかったんだけどな(笑)

でね、DVDのジャケットにも「見つめあうほどに、ふたりの愛は濡れてゆく。禁断の同性愛を描く究極のエロティック・ラブストーリー!」って書いてあるんだけど、はいはい。ホント、その通りですよ。。もうこの言葉、使い古されて擦り切れるくらいに古いけどね。しかしこれを見ると、やっぱり「その通りですね」としか言いようがない。。

ただね、チェン・アンをやった人は中国人で、この役を引き受けると言ったら「勇敢だ」と言われたらしい。もっとも本人はその言葉を聞くまで問題だとは思っていなかったらしいが。そして、もう片方のリー・ミン役をやった人、この人は中国人とフランス人を両親に持つ人みたいなんだけど、どうやらこの役は本当は中国人がやる予定だったらしいのだ。それがその役に決まった人は中国政府の「忠告」により、出演を止めてしまったので、この人がやることになったらしい。で、脚本も急遽書き換えられたそうだ。で、この人はメイキングで言ってる。

「メッセージ性のある映画に出られてよかったわ。自国でタブーの愛もよそなら認められる。今は無理でも3~4年後には中国でも受け入れられる」ってね。

わたしはこの映画は決してメッセージ性があるとは思わないが。。しかし、彼女の言っていることはある意味本当で、この映画が撮影されたのは2005年3月だが、それから約3年が経とうとしている。中国では今「華人レズビアン連盟」が設立されただとか「親の会」もできたとか、いろいろな動きもあるらしい。時代は少しずつでも動いている、と感じる。

結局、映画についてはめちゃくちゃなことを書いたけど、おそらく、全般的に言えるのは、わたしにはこの映画はちょっと合わなかったかな、ってこと。おそらく監督としては十分に描ききったと思っているだろうけど、わたしにはちょっと物足りなかった。その物足りなさの分、メッセージを感じることはできなかったが、しかし監督は別にメッセージ性はこの映画には持たせた気はないのだろうから、それはある意味正しい見方をしたのかな、という気持ちがしている。

んー、わたし個人的には、メッセージを含ませた映画を観るのが好きなんだけどね。ただ「美しい」とか「悲しい」だけでは、物足りないのだ。それは本当に個人の好みだから仕方ないのだけれど。

しかし、全く激しいエロいシーンはないのだが、官能的なあやしいエロティックさは十分に感じられる作品で、そこはよかったかな、と思う。音楽も場面に合った艶めかしさがあったし。
23:06 | (性的少数者)映画のこと | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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